ルパン制作ブログ ルパン座トーク ルパン制作スタッフによる制作裏話

エンディングウラ話~女性の心情を意識した画作り!

2015.12.31

皆さまこんにちは!テレコム制作進行見習いのナカノンです。大晦日ですねえ。2015年最後の「ルパン座トーク」更新です!

これまでお世話になってきたホリコ先輩がとうとう演出デビューしました…!

そして「ルパン」ではキャラクターデザイン補として活躍している田口麻美さんが初めて作画監督を担当!

ホリコ先輩×田口さんによる、キュートな魅力満載、オトナの色香が漂うエンディング映像ウラ話をお届けします!
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◆ ホリコ先輩、アニメーション演出デビューおめでとうございます!

ホリコ:演出として初めてインタビューを受けるよ…今日はちゃんと敬語で喋ります!

◆ やってみていかがでしたか?

ホリコ:自分が今やってみたいと思っている事をやらせてもらいました。リップシンク(音に合わせてキャラの口の動きを合わせること)はいつかやってみたいと思っていたので遠慮せずにやりました!やりたいこととプレッシャーと…色々葛藤しながらでしたが…。

◆ 田口さんも初作画監督おめでとうございます!

田口:キャラクターデザイン補として「ルパン」に関わっていましたが、原画自体はほとんどやってなかったから不安が大きかったですね。振り返って考えると、動きやパースを原画さんに頼ってしまったところがあるので、少し悔しい気持ちもあります。

◆ 演出をするにあたり、どこから始めていったのでしょうか?

ホリコ:まず考えたことは、曲と絵をどうマッチングさせるか。と言ってもお話しをいただいた時はどんな曲になるのかまだ分からなかったです。アニメのエンディングは止め絵でしっとりとしたものが多い印象があったので最初はその方向で考えていましたが、デモテープを聞いてみたら「止め絵じゃもったいない!」と思い直して。それで曲をいかす表現を考えた結果、動かそうと思いましたね。

◆ 曲を聞いてからコンテを描くまではスムーズでしたか?

ホリコ:コンテアップまでに1か月ぐらいかかりました。ただデモテープをずっと聞いてたら考えがまとまらなくて視野が狭くなってしまって。だから1度頭をリセットするために曲から離れる期間を設けて、再度聴き直してからアイディアを色々出していきました。

◆ エンディングはストーリー仕立てになっていますが、どういう風に構築していったんでしょうか?

ホリコ:歌詞カードを読みながら、カットを切るタイミングを感覚的に捉えて、言葉をどんどん区切っていきました。そして入れたい絵のイメージを考えて、それをパズルみたいに組み合わせていきました。必ずしも絵と歌詞が連携している訳ではないので、それで時間がかかったのかもしれません。

◆ エンディングに登場する女性は、石川さゆりさんですか?

 

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ホリコ:彼女は「峰さゆり」です!

◆ 不二子ちゃんと石川さゆりさんがフュージョン!?

ホリコ:エンディング曲の「ちゃんと言わなきゃ愛さない」のCDジャケットデザインがちょうど同時期くらいに進行してたんです。浄園さんから「石川さゆりさんをルパンの世界に合うようなキャラクターで」という要望を受けて、田口さんに描いてもらいました。その原案があって、エンディングでこのキャラ絵が出来上がったんです。

 

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◆ ジャケットが大事な役割を果たしていたんですね。

田口:ジャケットの絵は石川さゆりさんっぽく描いたのですが、エンディングではアニメの「ルパン」に更に寄せるために不二子要素を多めに描き直してます。

ホリコ:ジャケットのデザインは6パターンくらいデザイン案を出しました。
その中から最終的に選ばれたのが今のジャケット絵。そのイメージに合わせて、ライブシーンをエンディングに入れてます。もし別の絵が選ばれていたらエンディングはまた変わっていたかもしれないですね。

 

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◆ そうだったんですか!田口さん、作画する際のポイントを教えてください!

田口:最初に考えたのは女の人を可愛くする。女の人の複雑な心情を唄った歌なので、可愛くないと観ている人が世界に入っていけないと思ったんです。不細工なカットが1カットもないように気を遣ってます!

◆ すっごく可愛いです!それではここからシーンごとに聞いていきたいと思います。クラブシーンで目を引くのはやはりリップシンクですね。

 

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ホリコ:原画の北川義之さんがとても良い感じに描いてくれました。マイクをなでる動きやリズムを取ってくれたり。そこから更に田口さんが盛ってくれて。ライブシーンだったから、撮影さんが光処理をかけてくれてます。

◆ 光の具合がロマンティックです。レイアウトも素敵ですね。

ホリコ:1枚絵としてもかっこよくしたかった。でもクレジットをキャラにかぶせたくなかったので、文字を載せた場合も考えてレイアウトを組んでます。

◆ 続いて眠りシーンの回想シーンを表現するためのポイントを教えてください。

 

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ホリコ:ただの回想ではなく、歌いながら「今まさに思い出してる」っていう表現を目指しました。ちょっと粗いフィルターと装飾をつけてもらい、おぼろげな感じを表現してます。

◆ 装飾がキラキラ流れるのが印象的です。

ホリコ:清川あさみ(日本の美術家。写真に刺繍を施す作風が特徴)さんが好きで、彼女の作品をイメージしてこの装飾シーンを作ってます。それと不安定さを表現するために、紫の色むらがあるフィルターを1枚載せてもらいました。

田口:最初はもっと絵本みたいなイメージがありましたね。

ホリコ:このシーンだけ印象を変えたかったので仁保(にほ)知行さんという、個性的な線を描く方に原画をお願いしてます。

◆ カーテンがめくれた時にルパンが現れるところが素敵でした!

 

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ホリコ:ここは絵コンテだと影だけの予定だったけど、仁保さんのアイディアでルパンを出しました。背景の主線は、美術さんの描き起こしではなく、原画さんの線をそのまま使用して他のカットとは違う雰囲気の線になってます。

◆ 確かに、ここだけ背景の印象が違います…!田口さんはどうでしょう?

田口:眠ってるシーンは動きがないから、顔がのっぺりしてしまわないか不安でした。

 

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◆ とっても素敵ですよ!待ちくたびれて寝てしまったのか、泣き疲れて眠ってしまったのか…まさかヤケ酒をあおって爆睡中?!なんて色々と想像してしまいます!
お次は車でドライブするシーンです。

 

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ホリコ:ここから最後までの原画は滝川和男さんが担当してくださいました。ルパンが贈り物だけで何もしてこなかった時の彼女の心情をこの部分の歌詞が代弁してくれているというイメージで進めました。

◆ だから浮かない表情に感じるんですね!

ホリコ:リズム帯に入るところで、吹っ切った表情の正面カットを挿入しました。「そんなこと考えても仕方ない、私そんな女じゃないわ」っていう気持ちを表現したかったんです。

 

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◆ 一瞬現れる表情にハッとしました。

ホリコ:気持ちを切り替えるならここだろう、と思い、彼女の感情の変化や意思表示が伝わるようなカット割を意識しました。表情変化の切替がうまくできなければ次の「女の子に全部任せちゃダメ」という歌詞の力強さに繋がらないと思ったので。

◆ なるほど!心情の変化が表情で表現されてるんですね。車に寄りかかるカットがオトナの女性らしくてかっこいいです。

 

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ホリコ:田口さんには「車の対比に対して足が長くなってもいいからかっこよくして」とお願いしました。ポストカードにしてほしいですよね。

◆ 浄園さんもお気に入りだと仰ってました!

ホリコ:煙草の煙処理は撮影処理の場合が多いのですが、鉛筆の腹を寝かせて作画しています。ルパンの世界観をエンディングでもいかすために、横堀さんの手法を取り入れました。

◆ 背景などは本編よりもリアルな感じがします。最後の朝焼けのシーンはいかがでしたか?

 

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田口:私はサブキャラのデザインがメインだったので本編での原画はあまりやっていないんです。本編の作画にあまり詳しくなかったので、ラストの朝焼けシーンの影付はどう付けたらいいのか難しかったです。

ホリコ:背景を担当したのは美術の金森たみ子さん。「リアルになっていいからもっと描きこんで欲しい」とお願いしました。光処理が本編よりもかかるから、色も濃い目に設計さんに作ってもらったりして。最終画面を想像しながら作ることが出来ましたね。

◆ 振り返ってみて、うまくいったところ、難しかったところを教えてください。

ホリコ:うまくいったところは全体の画作り。それぞれの処理には妥協点はなかったと思います。難しかったところは、全部自分で回したこと。制作進行も自分でやりました…(笑)。

◆ 演出兼制作進行ですか?

ホリコ:はい。しかもエンディングの仕事と本編での設定制作としての仕事が重なってて。体力的にきつかったのもありますが、頭の切替が大変でした。制作脳でいえばスケジュール通りに進行してるのは分かる。でも演出脳として集中できているのか、自分のした判断が正しいのかいつも不安でした。画面が完成するまでずっと心配で、怖くて眠れなかったです。演出と進行は一緒にやるもんじゃないなと思いましたね(笑)。

◆ ひゃーそれはハードでしたね…!田口さんはいかがですか?

田口:後半は、ラストに向かって感情の動きがあるので、ちょっとした表情の付け方で表情が変わって見えてしまう。そのあたりを気を付けて描きました。うまくいったのは、堀川さんとコンビを組んでやらせていただいたこと。設定制作としてずっと一緒にやってきていたので気を遣わず意見が言えて楽しかったです。

◆ 印象的に憶えてることってありますか?

ホリコ:原画マンさんをつかまえるために横堀さんが営業かけてくれました。自分のオープニングもあるのに…すごく助けられたのでとても感謝してます。

◆ 横堀さん熱いですねえ!絶対に良いものを作ろうという気概をひしひしと感じます!
では最後にホリコ先輩、エンディング演出を終えた感想をお願いします!

ホリコ:「ルパン」という大きい作品の演出なんて、一生に一度巡ってくるかこないかのチャンスだと思ったので逃すまい、と思い作業してました。100%やって、これでダメなら次のチャンスがなくても仕方ないという気持ちでした。浄園さんにはテレコムに入社してから大きなチャンスばかりいただいてる。制作業務をはじめ、今回のEDもですが、浄園さんに仕事で否定されたことが特にないんです。入社して3年目になりますが、自分の仕事で何か返せたらいいな、という想いはずっと持ってます。色々な思いを込めて作ったので、少しでも多くの皆さんに受け入れられたら嬉しいです。

◆ ホリコ先輩、田口さん、ありがとうございました!!

 

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演出志望だったホリコ先輩の演出デビューは後輩として嬉しいです!

石川さゆりさんの歌と歌詞、エンディング映像が見事にマッチして、女性の複雑な心情が繊細に描かれていますよね。オープニングはルパン一味のカッコよさ、エンディングはしなやかな女性の美しさとイメージが分かれていて、どっちも素敵です!
明日からは2016年!明日、1月1日(金)は年末に阿佐ヶ谷ロフトAさんにて開催された「ルパン座トーク」イベントレポート、1月4日(月)は「サブキャラクターデザイン」についてお届けします。
冬休みもルパン座トークをお楽しみください☆それでは皆さまよいお年を!

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