ルパン制作ブログ ルパン座トーク ルパン制作スタッフによる制作裏話

手探りの挑戦~サブキャラクターの創出~

2016.01.04

皆さまこんにちは!テレコム制作進行見習いのナカノンです。本日から仕事始めでしょうか。お身体お大事になさってくださいね!
さて今回のテーマは「サブキャラクター」。毎回色んなキャラクターが登場し、「ルパン」を盛り上げています。そんなサブキャラクターたちを数多く手掛けているのが、じゃーん!キャラクターデザイン補佐の稲手遥香さん、田口麻美さんです!ある時はサブキャラクターの創作、ある時は不二子&レベッカの衣装替え、またある時は原画マン…縦横無尽に活躍する、テレコム期待のエース二人にお話をうかがいます!左から田口麻美さん、稲手遥香さんです。

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◆ 稲手さん、田口さん、今日はよろしくお願いします!まず、「キャラクターデザイン補佐」はどんなことをやるのでしょうか?

稲手:サブキャラクターのデザインや、モブキャラのデザイン、プロップ(小物の設定)などを描き起こしてます。また、不二子とレベッカの衣装替えも担当してます。

◆ サブキャラクターを作るのに、どれくらいの時間を要するものなんですか?

稲手:キャラクター、衣装替え、プロップの発注が来てから全部まとめて仕上げるのに、2週間くらいかかりますね。

◆ どんな手順でキャラクターを創るんですか?

稲手:まずは監督とキャラクターデザインの横堀さん、設定制作の堀川さんと打ち合せして、ライターさんからの要望をすり合わせたり、監督からの要望を取り入れます。あとは脚本を読んで、私の場合、例えばこの映画のこの俳優が近いかなっていう参考モデルを下敷きに考えていきます。

◆ 映画俳優など実際にいる人物をモデルの取っ掛かりにして考えるんですね。

稲手:そうですね。これだけ多くのキャラをイチから考えるのは大変なので、手がかりになるモデルを見つけて、「ルパン」の世界に落とし込む作業をしていきました。

 

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◆ 稲手さんは映画がお好きだと聞きました!普段どういった映画をご覧になるんですか?

稲手:洋画中心です。小さい時は「金曜ロードショー」とかテレビで見てて、今はレンタルして観ることが多いですね。一番古い記憶は『グレムリン』(1984年のアメリカ映画。珍ペットをめぐる騒動を描くSFホラー)。

◆ 田口さんも映画ご覧になるんですか?

田口:最近あせってます。この間レンタルで『偽りなき者』(2012年のデンマーク映画。冤罪をテーマにした人間ドラマ)を借りましたけど…映画館で観たのは『レ・ミゼラブル』(ブロードウェイミュージカルを映画化した2012年公開のイギリス映画)が最後なんですよ。

 

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◆ おふたりが手掛けたサブキャラの中で、好きなキャラクターはどれですか?

稲手:第9話「殺し屋たちの鎮魂歌」に登場するベラドンナ。五ェ門回ということで、『風魔一族の陰謀』のヒロインと逆のイメージで描きました。モデルにした人物もいるんですよ(11月27日更新 第9話「殺し屋たちの鎮魂歌」ウラ話~銃へのこだわり!)

 

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稲手:好評だったのは、ふくよかな方達。第5話「魔法使いの左手」のスカウトのナオミを始め、今後の話数でふくよかな方が何人か登場します。

 

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◆ 描いてて楽しいシルエットというか、キャラクターってあるんですか?

稲手:体型うんぬんよりも、キャラクターのテンションが高い方が描いてて楽しいです。動きや身振り手振りが想像しやすいですね。

◆ 浦賀航は途中まで稲手さんが描かれてるんですよね。どんなイメージで描いたのでしょうか?

 

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稲手:レベッカの好きなタイプが「ルパンと顔が似てる人」ということで、最初は松田優作のイメージでした。

田口:そうなんだ?

稲手:そう、でも15歳くらいのレベッカの彼氏が松田優作ってどうなの?っていう話が出て(笑)、年齢を落として松田龍平をイメージしてます。

◆ 松田優作だって若い時がありましたよ!田口さんの好きなキャラクターはどなたですか?

田口:まだ放送されてませんが、「グレコ」っていうキャラがお気に入り。グレコまではずっと不細工キャラしか描いてなかったので、フラストレーションがたまってたんですよ(笑)。

 

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◆ 参考モデルはいるんですか?

田口:コンテのイメージに合わせてます。

稲手:コンテのグレコはもっと、『機動戦士ガンダム』のガルマ・ザビっぽい感じで…

田口:似てないよ!

稲手:似てたよ!

◆ あの~…続けてよろしいでしょうか?

稲手・田口:あ、ごめんなさい!

◆ キャラクターを創作する上で、大変だったことはありますか?

稲手:やってる最中は吐きそうでした。想像より余裕がなくて…

田口:えーっ楽しんで描いてると思ってた!

稲手:辛すぎて泣いたことも(笑)。涙が出たからあせって非常階段に駆け込んだら、ちょうど通りがかった横堀さんに見られちゃったんですよね~。

◆ あ、横堀さんから泣いてたって聞きました!余裕がなくて、とはスケジュール的な意味ですか?

稲手:スケジュールじゃなくて、自分の中での余裕がなくて。キャラクターの幅がなくて描けなかったんですよ。

◆ 田口さんはいかがでしたか?

田口:私はそこまで自分を追い込まないようにストッパーをかけてました(笑)。

◆ プロップは主に田口さんが描いてるんですね。

田口:銃が多いですね。細かいところは省略して描くけど、省略していいところと悪いところがあるので調べて描いていきました。他にはサーベルとかも描いてます。

 

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稲手:田口さんは線が丁寧だから向いてるんだよね。

◆ それでは、制作が終わった感想をお願いします!

稲手:全部描き直したい!見返すと、「もっとこうしたい」と気になってしまいます。

◆ 皆さんそうおっしゃいますよね。次に向けて、別の作品でキャラクターデザインを手掛ける機会などがあったら、どういう風にしますか?

稲手:自分の中の引き出しを多くしたいです。「ルパン」をやってみて、次の課題が見えました。

◆ 田口さんはいかがですか?

田口:初期の頃とやり方が変わりました。最初は資料集めをしても、何をどう調べていいか、資料として何を集めたらいいのか分からなかったんです。

稲手:画像集めはずっとやってましたね。でもそれをデザインに用いるやり方が自分の中になかったので、自分で考えるしかなかった。こんなに参考になる画像がいっぱいあるのに、情報を自分から出していくことが出来てなかったと思います。

◆ それが今は出せるようになってきた、と。

稲手:「ルパン」の制作が終わってから出せるようになりましたね。

◆ 田口さんは終わる前に出せましたか?

田口:TVSPから反映できました(笑)。顔からじゃなく、シルエットから描いた方が雰囲気が出てうまく描ける、というのも今更ながら発見しました。顔から描き始めると装飾が無駄に多かったりするんだよね。

稲手:シルエットからの方がバランスが良くなるよね。

◆ 手がかりとなる画像はどこから拾ってくるんですか?

稲手:Tumbler(タンブラー)などですね。Googleのように汎用性の高いところではなく、ファン目線というか、誰かのフィルターがかかったまとめサイトで検索してました。…あまり活用できなかったけど。

◆ 田口さんは?

田口:私はキャラの雰囲気などを服から決めるので、ブランド検索をしてました。あとはVine(ヴァイン)という6秒動画の投稿サイトなどで、海外のキャラの強い人、おしゃれな人を参考にしてましたね。

◆ キャラクター性を考える方法論がそれぞれにあるんですね。稲手さん、田口さん、ありがとうございました!

 

 

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資料集めの方法にも個性が出るんですね。おふたりのキャラクターづくりが違うからこそ、今回の「ルパン」シリーズを通して様々な個性的なキャラクターが登場するんだと思いました!これからの後半パートでも参考モデルを下敷きに描かれたキャラクターが登場するので、見つけてみてくださいね。

今週8日(金)放送のTVSP「イタリアン・ゲーム」で田口さんはメインゲストのキャラクターデザインを、稲手さんは原画を手掛けてるのでお楽しみに!