ルパン制作ブログ ルパン座トーク ルパン制作スタッフによる制作裏話

ルパン世界を支える美術の力!

2015.08.28

こんにちは!テレコム制作進行見習いのナカノンです。

8月ももう終わりますねー。

さて今回のルパン座トークは、ホリコ先輩と一緒に、イタリアの舞台を描くルパン美術チームの方々にお話しを聞いてきます。

その前に、じゃん!美術制作はこんな流れでやってます。

 

 

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実際に背景美術を作るまでに、こんなに沢山の工程があるんですねー。

今回は、美術監督の山子さんを筆頭に美術ボードを手掛ける美術チームと、3Dレイアウトチームにお話しをうかがっちゃいます。

 

 

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◆ 金森さん、村本さん、今日はよろしくお願いします!いやーこんな可憐な女性が描いてるんですね!写真NGのため皆さまにお見せできなくて残念です。おふたりはまだ20代!テレコム入社3年未満という、期待の若手美術さんだと聞きました!

山子さん、おふたりの紹介をお願いします~。

山子 金森は美術監督補佐で、主に美術ボードを描いてます。金森はうまい、はやい、意欲的でリードして描いてくれますね。偏りなくなんでもいけます。

村本は話数担当で1話ずつの仕切と、美術ボードを担当しています。村本は絵が上品ですね。室内を中心にいいものを仕上げてくれてますね。

 

◆ 仕切?というのは…どんなことをやってるんですか?

村本 色んな場所が出てくるので、キャラクターがここに動くよ、など絵だけでは説明しきれないところを他の背景美術スタッフに説明するのが仕切です。

 

◆ 美術ボードっていうのは、背景作業を描くために必要な見本となるものですよね?美術ボードを1枚仕上げるのに、時間はどれくらいかかるものなんですか?

金森 ものによって違いますが、1日に大体2枚くらい仕上げてますね。

 

写真2追加_#03_223空家(昼)サンレオ

写真03追加_LPI_01_110_R政府官邸外観(夜)

 

 

◆ えぇ!描き込みとかすごいし、もっと時間がかかるものだと思ってました!

みなさんは何でアニメの背景美術をやろうと思ったんですか?

金森 私は絵が描ければ何でも良かったんですけど、人が描けないからですね。

村本 私も同じような感じです。キャラクターは好きなんですけど、人が描けない…。それとアニメが好きだったのでアニメの仕事をやりたかったからです。

山子 僕は絵の仕事がしたいので背景美術になりました。

 

◆ やっぱり皆さん絵がお好きなんですねぇ。

今回の「ルパン三世」はイタリアが舞台ですけど、実際の場所を描くのはやりやすいものなんですか?

山子 アニメーターとの共通理解がはかりやすいので、架空のものよりやりやすい部分はあります。でもその分、守らないといけないものがありますね。最低限ロケーションを再現しないといけない。もし外国人が東京を舞台にしたものの背景がめちゃくちゃだったら、あんまり楽しいと思わないでしょうし。

 

◆ あぁ~確かに!東京の街並みがおかしいと楽しめなくなりますよねー。

レベッカの別荘とか、フィクションのものを実景の中に入れるときに整合性をとったりするんですか?

山子 そうですね。レベッカの別荘も、いまどきのイタリアの若者が住みそうな感じで作ってます。

 

 

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◆ フィクションの背景を描く中で大事にしたポイントはどこですか?

山子 「土地」「気候」「その背景に関わるキャラクターの年齢」ですね。あと、設定打ちの時に聞いた監督の意図したものを入れるようにしています。それと僕はイタリアにはロケハン含めて2回行ったことがあるんです。向こうは石の文化で、日本みたいに建て替えたりしないんですよね。だから思ってるよりボロっちい部分があるので、描くときに小綺麗にしないように気を付けました。

 

◆ 金森さん、村本さん、ご自身がやった背景のおすすめポイントを教えてください!

金森 ローマやミラノの街です。私はイタリアに行ったことないですけど、1階の高さがめっちゃ高いとか、石のガタガタ感が楽しく描けました。

 

 

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村本 私は部屋中心で描いてました。

 

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村本 あとは…まだお見せ出来ないんですが、ちょっと特殊な絵が出てくる回があるんです。すごく時間がかかったので評価していただけて嬉しかったです。

◆ きゃーかっこいい!!ますます今度の「ルパン」が楽しみになってきました…!

最後に、美術についての熱い思いを聞かせてください!

山子 僕たちはもう当り前に捉えているんですが、毎回場所が違うので、毎回見本(=美術ボード)を作らないといけない仕事なんですね。かつ時間もバラバラで、それぞれ作らないといけませんし、監督の意図も入れたいですし。その上でイタリア人が見ても違和感がないように作るのは、非常にハードルが高いんですね。それをアニメーターよりも少ない人数で何とかやってる。制作が協力してスケジュールを確保してくれて、何とか出来てるという非常にきわどい作り方をしています。ぜひそれを知っていただきたいですね。

村本 ルパンの背景はタッチが大胆で独特なので、他のアニメと比較して楽しめると思います。

金森 絵をたくさん描ける仕事をさせてもらえて、めちゃくちゃ楽しい作品です。

◆ 先輩方今日はありがとうございました!

 

 

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続きまして…3Dレイアウトを担当している、宮川さん、宮崎さんにお話しを伺います。山子さんにも引き続き入ってもらいます。左から宮川さん、宮崎さんです。

 

 

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◆ それではよろしくお願いします!

まず、3Dレイアウトって一体なんですか?

宮川 作画さんがレイアウトを手書きで描くときの負担を減らすもの、美術さんの作業を軽減するためのものです。全体的に作品のスケジュールアップにつながるものですね。

 

◆ どういったものに3Dレイアウトを活用するんでしょうか?

宮川 基本的には作画さんが描きにくい場所だったり、形がとりにくいシーンを選んでやっています。あとは作画さんの人数が多いところですね。作画する上で配置やスケール感を合わせるのが大変になるシーンもやっています。毎回違う場所が出てくるので、監督と美監に立ち会ってもらい、話数ごとに作成するモデルを決めてますね。

宮崎 あと小物が多いシーンも。シーンのつなぎで小物が消えてしまいそうなところをやっています。

 

 

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◆ 美術設定を兼ねてモデリングを作ったんですか?

山子 構造が複雑すぎると、1~2枚ボードを描いても、何人ものアニメーターがそれを見てそれぞれ違う角度でシーンを描こうとしても、正直構造が分からないと思うんです。

宮川 普通の部屋だったら一つの向きとその反対側を描けば、大体の人がその部屋を把握できると思うんですけど、1話に出てきた複雑な形の塔のようなものだと何枚描いても把握できない可能性があるんですよね。

 

◆ だったらもうモデル組んじゃった方がいいなと思ったんですね。

宮川 そうですね。美設を何枚か描くよりも、1つモデルを作れば、それを基に何点か角度を変えたものを美設に出来るので。美設のスピードアップにも役立っていますね。

 

◆ 3Dレイアウトのデータはどんな構成になっているんですか?

宮川 これがチェック中に使ってるものです。青いフレームの内側が、作画でいうレイアウトのフレームになります。この状態で演出さんにチェックを受けます。

 

 

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宮川 これが作画さんに渡す、アウトラインの状態のものですね。

 

 

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宮川 そしてこちらが、色つきのものです。キャラなどを省いたものですね。こちらも作画さんに渡します。

 

 

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宮川 これが美術さんに渡すマスクの状態です。3DCGの中で、パーツごとの色…見た目の色と、そのパーツごとの色を設定できるんですけど、パーツが分かれてるところはこのように全部色を変えられます。色で選択することで、手作業で部分的に選択範囲を切り取っていく作業が軽減され、スピードアップに繋がります。

 

 

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◆作画用と美術用に渡すものがあるんですね…

山子 宮川さんは図解とか、人に説明するのも上手なので、色々と道筋を作ってもらってます。社内だから出来ることですけど、アシストしてもらえるのはすごくラッキーな状態ですね。

宮川 1年ちょっと前くらいから「ルパン」の企画が立ち上がりました。それで「ルパン」でシステムとして機能できるようにしよう、そこに向けて準備をしようというのがあったんですね。いくつかの作品で試しながら注意事項を作ったり、下地のところを積み上げていた感じです。

 

◆ 3Dレイアウトを使うシーンでは、基本の構図はおふたりが出してるんですね。

宮崎 はい。まず監督から聞いた作品全体の方向性を汲みつつ、コンテを元に構図を仮決めします。そのあとに演出さんに立ち会っていただいて、アニメの嘘を採用するか、しないかの判断もしながらレイアウトを決め込んでいきます。

 

◆???アニメの嘘???

宮崎 実写ではできないけど、アニメだから許されてる画面です。

宮川 1番大きいところで言うと、手前のものは広角レンズで撮った絵で、奥は望遠レンズで撮った絵で描いたりするんですよ。一つの画面なのに手前と奥でレンズが違うんです。実写ではありえないことで、3Dでもすぐに出来ません。そういう場合には手前と奥でバラして素材出したり、ものの形を変えたりします。

宮崎 それを3Dレイアウトを使ってでも作るのか、現実に即したものを作るのかっていうのも作品ごとに違います。

宮川 どこまで3Dでやるのかが難しいですね。

ホリコ 第1話の塔のシーンは3Dモデリングがないとあそこまで出来なかったんじゃないかと(笑)。どのアニメ会社もそうだと思いますけど、社内に3Dモデルを組める人がいる、知識のある人が居るっていうのは、制作環境が全然違ってくると思います。色々な声はあると思うけど、絶対ないよりはあった方がいい。一歩一歩、うちの会社でやりやすい方法が見つかればいいなと思います。実際「ルパン」はだいぶ助けられてますね。

宮川 いいところも悪いところも分かって欲しいので、作画さんと制作さん向けに実演会を開催しました。ナカノンはまだ入ってない頃だけど。制作さんに流れやシステムを分かってもらわないと、作画さんとの話が出来ないので。

宮崎 他の現場と接触するのが制作さんなので、制作さんが3Dの便利な使い方を知れば、提案してもらえますしね。

 

◆ が、頑張って覚えます…ビシバシしごいてください!今日はありがとうございました!

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